業務改善を目的にして情報共有をすすめようとするとき、経営者や管理職の立場では情報を「管理」する方向性で考えてしまいがちです。社内の暗黙知やバラバラに眠っていた情報を見える化して経営に活かすという視点は正解なのですが、下から上へと情報を伝えさせるという考え方ではなく、情報をシェアするためにオープンにするという姿勢が大切です。

やらされる仕事はやりたくない。

情報共有のメリットは誰しも理解できることですが、そのためには一人ひとりが情報をシェアする作業が欠かせません。ところが、人は正論だけでは動きません。特にWebシステムの導入がはじめての場合は、新たなシゴトが増えるという拒否反応を示されることもあり、理屈で理解させるだけでなく腹に落ちるように心を動かすアプローチが必要になります。

▼気が乗らない情報共有のマインド
・部下がもっている情報を上司に伝えさせる
・社員の行動を管理するために報告させる
・そもそも報連相は社員の義務である

▼腹落ちする情報共有のマインド
・個別にもつバラバラの情報を集約してオープンにする
・オープンになっている情報を日々の業務に活かす
・集約された現場の情報を経営に活かす

個人がもつ情報をみんなで共有し、会社がもつ情報もみんなで活用する。

情報共有は「社員→経営者」への報告ではありません。また「部下→上司」「会社→社員」のような、一方通行のやりとりでもありません。会社や個人によってシェアされオープンになった情報を、各々が日々の経営や業務に活かすことです。ところが、実際に情報共有のためのWebシステムについて経営者の方々とお話しをしていると、言葉の端々から「管理」をしたがっている雰囲気を感じることが多々あります(「サボってる社員を管理して生産性を上げる」「社員の業務を管理して効率化する」など)。

仮にまったく同じWebシステムを導入したとしても、マインド次第で取り組みの成果は大きく変わります。会社や上司によって管理されてると感じれば、社員はWebシステムの利用に消極的になります。気が乗らなければ面倒になり、Webシステムへのアクセスも滞ります。導入したシステムが活用されなくなる背景には、システムそのものの問題よりも、そうしたマインドに問題を抱えていることが多いです。

利用してなんぼのWebシステム、活用してなんぼの情報ですから、基本的なマインドとしては大らかでオープンであることが大切です(いうまでもなく権限設定による情報の管理は必要です)。これから情報共有をお考えの経営者や取り組みがうまく進まず困っている担当者の方は、一度、根本的なマインドを確認してみてはいかがでしょうか。