おかしなタイトルだと思われたかもしれませんが、業務改善の現場ではしばしばこの当たり前のことが忘れられてしまっています。

「業務改善」とはその言葉の通り、業務をより善く改めることです。それにもかかわらず、「業務改善」を今までのやり方を変えることなく行おうとするケースが珍しくありません。

シンプルな良くある例として、「アナログをデジタルにする」「紙の資料をデータ化する」という業務改善をめざすとき、単純に目的を満たす機能をもったシステムを検討し、開発、導入をします。それを社内に展開しますが、なかなか上手くいきません。

それはそうです。

たとえば、顧客情報を紙からデジタルにした際、社員にとっては、インプットの手段が変わるだけでやってることは変わりない。操作や入力方法などの新しいことを覚えなければならず面倒。業務改善どころか、むしろ日々の業務の足かせにすらなっている。

そう思われても仕方ありません。

日々の小さな「業務改善」ではなく、システムを導入するような大きな「業務改善」の場合、少なからず関わる人たちの負担を伴います。それだけに、しっかり意味のある取り組みにするためには根本から業務の見直しをすることが必要です。

ムダな作業はないか、統合または分業した方がいい業務はないか、マニュアルはあるか、情報や知識は共有されているか、テンプレートは必要ないか、優先順位は適切か、担当者は適任か……などなど、検討するポイントはたくさんあります。その過程を経てはじめて、どのようにデジタル化することがより良いのかを導き出せます。

業務改善=システム導入ではなく、この機会を業務について根本から考え直してみる機会にするとよいのではないでしょうか。