「Googleドライブに置いたデータは、国内に保存されるのですか」。社内の稟議や質問に答えるために、こう聞かれて、答えに困ったことはありませんか。
私たちも、お客様から、同じ質問を受けました。社内の稟議や質問に答えるために、データの保存場所を知りたい、という相談です。
結論から言うと、Google Workspaceのデータを、日本国内に限定して保存する設定は、確認できませんでした。この記事は、2026年11月4日時点の、Google公式の情報にもとづいています。
ただし、「国内に置けない」で終わりではありません。稟議に使える確認ポイントも、あわせて整理します。
- 公式のデータリージョンで選べる保存先は、米国か欧州。日本は選択肢にない
- 何も指定しない場合、データは複数の地域のデータセンターに分散して保存される
- 日本にGoogleのデータセンターはあるが、Workspaceのデータを国内に限定する根拠にはならない
- 国内保存が必須でなければ、法令・契約・暗号化の面で、稟議に使える確認ポイントがある
結論:日本国内に限定する設定は、確認できない
公式の情報を、3つの問いに分けて整理します。
| 問い | 公式情報から分かること |
|---|---|
| データは、どこに保存されるのか | 地域を指定しなければ、複数の地域のデータセンターに複製して保存される(契約の付属書の記述) |
| 保存先を、日本に指定できるのか | データリージョンで選べるのは、米国か欧州。日本は選択肢にない |
| 日本に、Googleのデータセンターはあるのか | ある。ただし、Workspaceのデータの保存先を日本に限定する設定とは、別の話 |
契約の面でも確認しておきます。GoogleのData Processing Addendum(データ処理に関する追加条項)の第10.1項には、お客様のデータは、どの国でも処理され得ると書かれています。対象は、Googleまたは委託先が施設を持つ国です。
また、付属書には、地域の指定などの指示がない限り、複数の地理的に分散したデータセンターの間で、データを複製すると記載されています。
データリージョンとは:保存先を、米国か欧州から選ぶ機能
Googleの公式ヘルプによると、データリージョンは、データを保存する地域を指定する機能です。選べるのは、次の3つです。

「指定なし」にすると、Googleが複数の地域のデータセンターに分散して保存します。「米国」「欧州」を選ぶと、その地域に限定されます。日本の会社が国内保存を目的にして使える選択肢は、ありません。
対象になるデータ・ならないデータ
公式ヘルプによると、データリージョンの対象になるのは、次のようなデータです。
| サービス | 対象になるデータ |
|---|---|
| Gmail | 件名、本文、送受信者、添付ファイル |
| Googleドライブ | アップロードされた元のファイルの内容。保存先は、ファイルを作った人のデータリージョンのポリシーに従う |
| ドキュメント・スプレッドシート・スライド | 本文、画像、図形、コメント |
| Googleカレンダー・Google Chat | 予定のタイトルや参加者、メッセージや添付ファイル |
| Google Meet | 録画、出席レポート、文字起こしなど |
| Gemini | プロンプトと回答 |
一方、ログやキャッシュされたコンテンツは、対象外です。「ドライブのファイルだけでなく、ログまで国内に」という要件は、データリージョンでは満たせません。
対応しているエディション
公式ヘルプの一覧には、Business StandardとBusiness Plusが載っています。Enterprise、Frontlineの各エディションなども対象です。Business Starterは、この一覧に載っていません。
また、Business Standardなどに含まれるのは、保存データを対象にした「Fundamental Data Regions」です。処理中のデータまで対象にするのは、「Enterprise Data Regions」などの上位の機能です。
自社の契約がどのエディションかは、次の記事の料金プランの比較で確認できます。

設定する場所
公式ヘルプに載っている、データリージョンの設定手順です。国内保存には使えませんが、管理画面のどこにあるかを知っておくと、稟議の説明に役立ちます。
この操作には、データリージョンの設定の管理者権限が必要です。
左側のメニューから、順にたどります。
組織部門やグループ単位で設定できるのは、一部のエディションに限られます。
ポリシーを変更すると、24〜48時間以内に、保存の状況を確認できます。
「日本にデータセンターがある」は、国内保存の根拠にならない
「Googleは、日本にもデータセンターを持っている」と考える方もいるでしょう。事実としては、そのとおりです。Googleのデータセンターの一覧には、日本の印西が載っています。
また、Google Cloudの公式ブログには、東京と大阪に、Google Cloudのリージョンがあると書かれています。
ただし、これらは、お客様のWorkspaceのデータが国内に保存されることを示すものではありません。データセンターの一覧の説明文に、Workspaceなどの製品名はありません。また、Google Cloudのブログに、Workspaceの記載はありません。
データセンターが日本にあることと、自社のデータが日本に保存されることは、別の話です。国内に限定する設定がなければ、保存先を日本と説明することはできません。
国内にデータの写しを持つ選択肢:ローカルデータストレージ
公式ヘルプに、「ローカル データ ストレージ」があります。ヘルプのページによると、Workspaceのデータを、組織が所有するGoogle Cloud Storageのバケットにエクスポートできます。バケットは、希望のロケーションに作ります。
データの場所、アクセスできる人、保存や削除の方針を、組織側で管理できます。対象は、Assured ControlsまたはAssured Controls Plusのアドオンを使っている組織です。Googleのデジタル主権のページには、選んだ国にデータのコピーを保存できると書かれています。
ただし、公式ページには、日本のバケットが使えるかどうかは書かれていません。エクスポートによって、元のデータの保存場所が変わるのかも、記載がありません。Cloud Storageの追加料金が発生することもあります。
国内保存が必須でないなら:稟議で使える5つの確認ポイント
国内保存が必須の条件でなければ、次の5つを確認して、稟議に載せます。
1. 個人情報保護委員会のFAQを確認する
個人情報保護委員会のFAQ(Q12-3)は、外国にあるサーバへの保存を、どう扱うかを説明しています。
外国の事業者が、外国に設置して運営するサーバへの保存が、対象です。その事業者が、保存された個人データを取り扱わないことになっていれば、外国にある第三者への提供には当たらないとされています。契約で取り扱わない旨が定められ、適切にアクセス制御が行われている場合などが考えられると、FAQに書かれています。
あわせて、外国の個人情報保護の制度を把握したうえで、安全管理の措置を取ることが求められます(法第23条)。その措置を、本人が知り得る状態に置くことも必要です(法第32条)。
2. 政府のセキュリティ評価制度(ISMAP)への登録を確認する
Googleの公式ブログによると、Google Workspaceは、2021年3月に、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に登録されました。
ISMAPは、公共部門の調達に参加するクラウドサービスの、セキュリティの要求と運用の基準を評価する、政府主導の制度です。ただし、Googleの発表に、データの保存場所が国内かどうかの記載はありません。登録の最新の状況は、ISMAPのクラウドサービスリストで確認してください。
3. 契約書(データ処理に関する追加条項)を確認する
データの処理を行う国や、データセンターの所在地は、契約の付属書に書かれています。Data Processing Addendumを確認し、稟議には、その条項の番号を添えると、説明しやすくなります。
4. 暗号鍵を、自社で管理する(クライアントサイド暗号化)
公式ヘルプでは、クライアントサイド暗号化を、Googleのサーバや第三者が復号できない暗号化と説明しています。Googleのデジタル主権のページには、組織が、Google以外の環境で暗号鍵を管理できると書かれています。
対応エディションは、Frontline Plus、Enterprise Plus、Education Standard、Education Plusです。多くの中小企業が使うエディションとは異なるため、導入には、契約の見直しが必要になります。
5. サポート担当者のアクセスを、制限する
Googleのデジタル主権のページによると、Assured Controls Plusでは、サポート担当者がデータにアクセスする前に、承認を必要にできます。サポート目的でアクセスする社員の、接続元の地域も制限できます。
公的機関・自治体の場合
日本の公的機関については、Googleが2026年1月に発表した利用規約の改定で、準拠法を日本法、管轄の裁判所を東京地方裁判所とする旨が明文化されました。この発表に、データの保存場所の記載はありません。
稟議にそのまま使える回答例
社内から聞かれやすい質問と、回答の下書きです。〔 〕の部分は、自社の内容に書き換えてください。
| 質問 | 回答の下書き |
|---|---|
| データは、どこに保存されますか | Google Workspaceのデータは、地域を指定しない場合、Googleの複数の地域のデータセンターに分散して保存されます。 |
| 国内に限定できますか | 2026年11月時点の公式情報では、国内に限定する設定は確認できません。データリージョンで選べるのは、米国か欧州です。 |
| 安全性は、どう確認しましたか | ISMAPへの登録(2021年3月)と、契約書(データ処理に関する追加条項)を確認しました。〔自社で行う対策を書く〕 |
| 個人情報は、問題ありませんか | 個人情報保護委員会のFAQを確認し、契約の内容とアクセス制御を点検します。〔点検の結果を書く〕 |
「国内に限定できない」という事実は、隠さずに書きます。そのうえで、確認した内容と、自社の対策を添えると、稟議が通りやすくなります。
国内保存が絶対条件の場合は、どうするか
取引先の要求や、社内の規程で、「データは国内に置くこと」が絶対条件なら、現在のWorkspaceでは満たせません。その場合の選択肢は、次の3つです。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 国内保存を契約で約束するサービスを探す | サービスごとに、保存場所の約束を、契約書や公式資料で確認する |
| 国内保存が必要なデータだけを分ける | そのデータは、社内のサーバーや国内保存のサービスに置き、ほかの業務はWorkspaceで行う |
| 要求の元に、相談する | 取引先や社内規程の要求が、国内保存でなければならないのか、確認する |
Googleと、ほかのサービスを比べたい場合は、次の記事も参考にしてください。

また、データの保護に使えるWorkspaceの設定は、次の記事にまとめています。

データの保存場所で稟議に困ったら、当社へご相談ください
私たちちらし屋ドットコムは、2006年8月ごろから、自社のドメインでGoogleのサービスを使っています。現在は、IT担当者のいない中小企業向けに、Google Workspaceの導入と設定を支援しています。
私たちなら、国内に限定できない点を、先にお伝えします。そのうえで、何を確認すれば社内の稟議を通せるかを、一緒に整理します。
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「どのプランが自社に合う?」「費用はどの程度必要?」「今使っているメールはどうなる?」など、小さな疑問にもお答えします。

よくある質問
まとめ
Google Workspaceのデータを、日本国内に限定して保存する設定は、2026年11月時点の公式情報では確認できませんでした。データリージョンで選べるのは、米国か欧州です。
日本にGoogleのデータセンターはありますが、自社のデータが国内に保存される根拠にはなりません。国内に写しを持つ選択肢として、ローカルデータストレージがありますが、日本が使えるかは確認が必要です。
国内保存が必須でなければ、個人情報保護委員会のFAQ、ISMAP、契約書、暗号化の4つを確認して、稟議に使います。必須なら、別のサービスを検討するか、データを分けて管理します。
稟議の進め方に迷う場合は、お気軽にご相談ください。
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