「クラウドツールを使うのに、社員一人ひとりに別々のメールアドレスが必要になった」。私たちは、こうしたご相談をいただくことがあります。ある福祉系の事業者様では、10名ほどのスタッフが業務で個別にメールを送受信するわけではないのに、利用しているクラウドツールの登録・ログイン用として、1人ずつメールアドレスが必要になったそうです。
こうした場面で候補に挙がりやすいのが、Google Workspaceの「メールエイリアス」機能です。実はエイリアスは、外部サービスへの登録用アドレスとして公式に使い方が案内されている一方、「受信箱を個別に分けたい」という目的には向いていないという、もう一段細かい注意点があります。この記事では、エイリアスでできること・できないことを、公式ヘルプの記載をもとに整理します。
メールエイリアスとは
Google Workspace公式ヘルプによると、メールエイリアスは「管理者がユーザーのメインのメールアドレスに追加する転送先メールアドレス」です。エイリアス宛に届いたメールは、自動的にそのユーザーのメインアカウントの受信トレイに届きます。
追加料金なしで、ユーザー1人につき最大30個までエイリアスを追加できます。「営業窓口用」「サポート窓口用」のように、1人が複数の役割・部署の受け口を持つ場合に向いた機能です。

エイリアスは外部サービスの登録用アドレスとして使える
Google Workspace公式ヘルプには、エイリアスの利用シーンの1つとして、次のように明記されています。
つまり、外部のクラウドツールに登録する際のメールアドレスとしてエイリアスを使うこと自体は、公式に案内されている使い方です。10名分のエイリアスを用意し、それぞれを別のクラウドツールの登録アドレスとして使う、という方法は選択肢になります。
実際、冒頭でご紹介した福祉系事業者様のケースでは、スタッフの皆さんが普段のメール送受信を個別に行うことはなく、管理者がまとめてアカウントを管理する運用でした。「クラウドツールの登録に使う一意のアドレスがあればよい」というパターンだったため、このケースはエイリアスで対応できました。
【注意点】エイリアス宛のメールは1つの受信箱に集約される
エイリアスは独立したGoogleアカウントではありません。公式ヘルプにも、エイリアスアドレスでログインしてGoogleドライブなどのGoogleサービスにアクセスすることはできないと明記されています。これはGoogleサービス自体へのログインの話です。
実務上さらに重要なのは、エイリアス宛に届いたメールは、そのエイリアスが紐づく1人のユーザーのメイン受信トレイにすべて集約されるという点です。10名分のエイリアスを1つのGoogleアカウントにまとめて設定した場合、10個のクラウドツールから届く通知・パスワード再設定メールは、すべて同じ受信箱に届きます。
「登録に使う一意のメールアドレス文字列があればよい」という目的なら、エイリアスは有効な選択肢です。一方、「スタッフそれぞれが、自分専用の受信箱でそのツールの通知を受け取り、自分でパスワード管理をしたい」という目的であれば、エイリアスでは実務上不十分です。どちらの目的なのかを最初に整理しておくことをおすすめします。
個別に受信箱を分けたい場合の選択肢
スタッフそれぞれが自分専用の受信箱でクラウドツールの通知を管理したい場合、現実的な選択肢は次の2つです。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 個別のGoogle Workspaceライセンスを追加する | 1人につき1アカウント・1受信箱を発行する、最も確実な方法。追加人数分のライセンス費用がかかる |
| 利用するクラウドツール側の仕様を確認する | サービスによっては、Googleアカウントを使わず任意のメールアドレスで登録できる場合もある。その場合は個人のメールアドレス等、別の手段の検討が必要 |
エイリアスは「ライセンス費用をかけずに登録用アドレスを用意できる」便利な機能ですが、受信箱そのものを個別に分けることはできません。目的に応じて使い分けることが大切です。
エイリアスの追加方法
管理コンソールの「ディレクトリ」→「ユーザー」から、対象ユーザーの名前をクリックします。
ユーザー詳細画面の「予備のメールアドレスを追加」をクリックし、「予備のメールアドレス」の欄にエイリアス名を入力します。別のドメインを使う場合はセカンダリドメインを選択します。
「保存」をクリックして完了です。反映まで最長24時間ほどかかる場合があります。すぐに反映されなくても、慌てず時間をおいて確認してください。
自社での判断に迷ったら
メールアドレスの使い分けは、一見単純に見えて、実際には「エイリアスで足りるのか」「個別ライセンスが必要なのか」の判断を誤ると、後から運用を組み直すことになりかねません。
私たちちらし屋ドットコムでは、こうしたメール運用の設計から、実際のクラウドツール連携まで含めてご相談いただけます。「このツールにはどちらの方法が合っているか分からない」という段階でも、お気軽にお問い合わせください。
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よくある質問
まとめ
メールエイリアスは、追加費用なしで1人につき最大30個まで使える便利な機能です。外部のクラウドツールへの登録用アドレスとしても、公式に案内された使い方ができます。
一方で、エイリアス宛のメールは1人のユーザーの受信箱に集約されるため、スタッフそれぞれが自分専用の受信箱で管理したい場合には向いていません。「登録用の一意なアドレスがほしいのか」「受信箱そのものを個別に分けたいのか」を整理してから選ぶことが、後々の運用トラブルを防ぐポイントです。冒頭の福祉系事業者様のケースのように、管理者が一元管理する運用であれば、エイリアスだけで無理なく対応できます。判断に迷う場合は、お気軽にご相談ください。
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