「うちのネットショップ、今のASP(レンタルカート)のままでいいのだろうか」。取引先ごとに価格を変えたい、独自の帳票を出したい――そんな要望が出てきたとき、多くの経営者が一度はこの疑問にぶつかります。
結論からお伝えすると、ASPとEC-CUBEのどちらが向いているかは、御社の業務内容次第です。この記事では、EC-CUBE公式インテグレートパートナーとして数多くのBtoB受発注サイトを構築してきた経験から、両者の本質的な違いと、実際にASPでは対応しきれなくなる具体的なケースを解説します。
EC-CUBEとASP(レンタルカート)、そもそも何が違うのか
ASP(レンタルカート)とEC-CUBEは、どちらもネットショップを作れる仕組みですが、成り立ちが異なります。
ASPは、あらかじめ用意された機能の中でネットショップを運営するサービスです。STORES・BASE・カラーミーショップなどが代表的で、契約すればすぐに使い始められる手軽さが魅力です。
一方のEC-CUBEは、オープンソースのECサイト構築システムです。土台となるプログラムが公開されており、自社の業務に合わせて機能を自由に追加・変更できます。その分、構築や運用には専門知識が必要になります。
この「決められた枠の中で使うか、自由に作り込めるか」という違いが、BtoBの受発注業務では特に大きな差を生みます。EC-CUBEそのものの仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、EC-CUBEとは?プラグインからカスタマイズまでわかりやすく解説もあわせてご覧ください。
ASP(レンタルカート)が向いている業務
先に断っておくと、当社はEC-CUBEを無理におすすめすることはありません。ヒアリングの結果、ASPのほうが向いていると判断すれば、正直にそうお伝えします。
個人向け(BtoC)の販売で、商品数もそれほど多くなく、価格やページ構成が全顧客共通で問題ない場合は、ASPで十分なケースがほとんどです。初期費用を抑えてすぐに始められる点は、ASPならではの強みです。
問題が出てくるのは、取引先ごとに条件を変えたい、既存の業務システムと連携したい、といったBtoB特有の要件が発生したとき。ここからが、ASPとEC-CUBEの分かれ道です。
BtoBの受発注業務で、ASPが「もう無理だ」となる5つのケース
ASPカートの多くは、個人向け(BtoC)の販売を前提に作られています。そのため、法人間取引(BtoB)ならではの要件には対応できないことが少なくありません。当社への相談でも、以下のような業務要件がきっかけでEC-CUBEでの構築に至るケースが目立ちます。

会員(取引先)ごとに商品価格を変えたい
代理店や卸先ごとに卸値・掛け率を変えて販売したい、というのはBtoB取引の基本です。しかしASPの多くは、全顧客に対して同じ価格を表示する前提で作られており、会員ごとの価格出し分けに対応していません。この点はBtoB ECで得意先価格を設定する意外な理由でも詳しく解説しています。
独自の税計算が必要
業種や取引条件によっては、標準的な税計算のルールとは異なる計算方法が必要になる場合があります。ASPの標準機能では対応できず、カスタマイズが必須になる領域です。
独自の帳票を出力したい
見積書・納品書・請求書など、自社の書式に沿った帳票を自動出力したいというニーズも、ASPでは実現しにくいポイントです。標準の帳票フォーマットしか使えないASPが大半で、結局は手作業での対応が発生してしまいます。
商品に独自の項目・情報を追加したい
規格・ロット番号・取引先専用の型番など、業種特有の商品情報を管理したい場合、ASPの商品登録項目では足りないことがあります。EC-CUBEであれば、こうした項目をシステム側に追加できます。
基幹システムなど外部サービスと連携したい
在庫管理・顧客管理にkintoneなどの外部サービスを使っている場合、EC受注データと自動的に連携させたいという要望も増えています。ASPでは連携の選択肢が限られており、API連携を前提にした構築が必要になります。
EC-CUBEなら、なぜこれらに対応できるのか
EC-CUBEがこうした要件に対応できるのは、オープンソースであるがゆえに、システムの土台部分から自由にカスタマイズできるためです。決められた機能の中から選ぶのではなく、御社の業務フローに合わせてシステム側を作り込んでいく、という発想になります。
ただし、自由度が高い分、構築後のバージョンアップやセキュリティ対応など、継続的な保守の知識が必要になる点はASPと大きく異なります。この点は、カスタマイズを検討する際にあわせて押さえておく必要があります。
ASPのままでいい会社・EC-CUBEを検討すべき会社
ここまでの内容を踏まえると、判断の軸は「決められた枠の中で運用を回せるか」にあります。
商品・価格が全顧客共通で、標準機能の範囲で業務が回っているなら、無理に移行する必要はありません。今のASPを使い続けるのが合理的です。
一方で、取引先ごとの価格設定・独自の帳票・外部システムとの連携など、標準機能では対応できない業務が複数ある場合は、EC-CUBEでの構築を検討する価値があります。まずは自社の業務要件を整理したうえで、どちらが向いているか相談してみることをおすすめします。
よくある質問
まとめ
ASPとEC-CUBEの違いは、「決められた枠の中で使うか、自由に作り込めるか」という一点に集約されます。個人向け販売で標準機能に不満がなければASPで十分ですが、取引先ごとの価格設定・独自帳票・外部システム連携といったBtoB特有の要件が出てきたときは、EC-CUBEでの構築が選択肢に入ります。
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